牛乳を飲んでおなかがゴロゴロしたことがある、もしくは下痢になったことがある方も多いのではないでしょうか。
実はおなかがゴロゴロしたり、下痢になったりする原因は大きく分けて2つあると言われています。今回は2つの原因を紹介していきます。
※この記事は、管理栄養士の「山崎麻未」さんがご紹介しています。
乳糖不耐症は名前の通り、乳糖の不耐(抵抗力が失われて弱くなっている)がおこっている状態のことです。
乳糖は、牛乳や乳製品で含まれている糖のことで、乳糖は通常ラクターゼという酵素により分解されます。
ラクターゼという酵素が少ない人や働きが低下している人=乳糖を消化して吸収することができにくい人
↓
分解できていない乳糖が小腸に入り込む
↓
下痢を起こしてしまう
分解できず、そのまま大腸に入った乳糖は、細菌によって発酵されてガスが生じ、おなかがゴロゴロする原因にもなります。
日本人は特に乳製品を摂りだした歴史が浅いです。ラクトース(乳糖)を持っていない人や持っていても少ない人が多く、乳糖不耐症の人が多いと言われています。
乳糖不耐症ではなくても牛乳に限らず冷たい飲みものを一気に飲むと、腸を刺激しておなかがゆるくなる人も多くいます。
「牛乳を飲むと下痢をする」と自己暗示にかかり下痢をしてしまう人もいるようです。
牛乳アレルギーは食物アレルギーのひとつになります。
食物アレルギーは、原因となる食品を食べた後にアレルギー反応が起こり、下痢以外にも、蕁麻疹や、呼吸困難などが起こるため乳糖不耐症よりも深刻な病態と言えます。
原因は、牛乳に含まれるカゼインなどのタンパク質です。基本的には、乳幼児に多く、8歳ぐらいまでには自然治癒することが多いとされています。
大人になっても牛乳アレルギーが治らない人や、まれではありますが、大人になってから牛乳アレルギーになる人もいます。
牛乳を飲んだ後に、おなかがゴロゴロする程度であれば乳糖不耐症の可能性が高いと言えます。
病院では基本的に詳しい検査をするのではなく、3~4週間の間牛乳を除いた食事を試し続けて、おなかがゴロゴロしなくなり、その後牛乳を摂取すると症状が再び現れる場合は「乳糖不耐症」と診断が確定します。
蕁麻疹や、呼吸が苦しいなどの症状が出た場合は牛乳アレルギーや他の原因がある可能性があるため病院への受診が必要です。
自己判断は危険なため少しでも気になる症状がある場合は病院へ行くことが大切です。
乳糖不耐症の場合、腸への刺激をおさえることで牛乳が飲める場合があります。
40度程に温めて飲むことで、冷たい牛乳を飲むよりも刺激が弱まります。
他の食品を一緒に食べながら牛乳を飲むことで腸への刺激が弱まります。
乳糖を、最初から分解している乳飲料やスキムミルクも市販で売られることが多くなりました。
同じ乳製品でも、ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を加えて発酵させたものなので、乳糖が一部分解されています。
チーズは製造工程で乳糖がほとんど除かれているため食べてもおなかがゴロゴロしにくい方も多いようです。
乳糖不耐症は個人差もあり、もともと日本人は多いと言われています。
牛乳を無理に取り入れるよりも、牛乳に多い栄養素である、たんぱく質やカルシウムなどを他の食品からとり入れることを心がければ問題はありません。